怖いもの知らず

外国語、外国人と異文化体験・ビジネス・身辺雑記

Bob ー英語の品性

英語にも品性がある

「やっぱり、あいつは採用しない方が良かったと思うよ。あいつの英語って、本当に下品でレベルが低いよ」 2年前から専任講師をしているエレンが、事務室を出て行くBobの後ろ姿を見ながらささやいた。

自由と平等の国、アメリカが英語のアクセントや話し方で、はっきりとその人のレベル、品性がわかるということをその時初めて知った。日本では、下層、中流、上流(何が上流かは別として)階級と、せいぜい3通りに分けられるくらいだが、アメリカではもっと細かく、しかも絶対的な格差があるらしい。言葉のアクセントで、育ってきた環境や出身大学のレベルまで、だいたい分かってしまうというのは本当に驚きだ。日本でも今、格差社会が問題となっているが、それでも90%が中産階級と言われる日本ではありえないと思ってしまう。本人の努力で何とかなるのは、Make a dremの国、アメリカより日本の方がよほどましじゃないかと思える。

チンピラ英語講師、ナンパの巻

Bobは、私が外国語スクールに勤め始めた頃に出会った講師なのだが、その後10年以上の間の多くの外国人講師の中でも、その品性と性格の悪さは Worst One ではないかと思われる。エレンの予想は大当たり!いやしくも講師であるし、一応大学もでているのだが、Bobの本性は、こすっからいチンピラ。Bobはシアトル出身の27歳。白茶けた金色の短髪、金色の無精ひげ、浅いブルーのキョトキョト動く目、両耳の小さな輪っかのピアス。無論面接の時はひげも剃ってスーツを着ていたが、彼のスーツ姿をみたのは後にも先にもこのときだけ。「ケープファイアー」というロバート・デ・ニーロ初期のサスペンス映画があるが、これを見た時、Bobそっくりだと思った。ロバート・デ・ニーロは黒髪だが、これを金髪に変えれば、役柄そのまま、どんぴしゃりのチンピラBob。

Bobが4月の新学期から働き始めて、3か月ほどたった6月のある日、「ちょっとお願があるのですが。」とBobの初級クラスを取っているK子さんがオフィスに来た。K子さんは小学校の先生で、まじめで清楚な美人。「クラスを変えてほしい」という。「私に英語力がないので、私の思い違いかもしれないのですが・・」と前置きして「授業中や授業後にBob先生から誘われるのです。英語は続けたいのですが、それが困るので・・。できたらBob先生と会わずにすむような曜日と時間帯の別のクラスに移りたい。」いえいえ、それはK子さんの思い違いなんかじゃありません。あいつなら充分ありうる!K子さんがわざわざオフィスに来るくらいだから、よほど思い余ったか、Bobがしつこいかとお察し申し上げる。大恐縮して、Bobが出張レッスンに行っている他の曜日のエレンのクラスを勧め、K子さんにはクラス移動してもらった。Bobのやつ、美人でインテリ、しかもおとなしいK子さんに目を付けるなんて油断も隙もありゃしない。「K子が最近来てないけど辞めたのかな」と、その後何度かBobに聞かれたが「忙しいんじゃないの」と、とぼけた。それからはBobのクラスに気を付けるようにしたが、英会話の特に初級のクラスは80%が若い女性なので、これは大変。気が休まらない。現にBobは1年在職して辞めた後、「クラスの女の子を何人かナンパして、辞めた後も付き合っているらしい」とうわさで聞いた。

チンピラ英語講師、ゆすりの巻

夏休みが終わった9月のある日、自転車で通っていたBobが壊れた自転車を担ぎ、顔や手足に擦り傷をこしらえてご出勤。途中で自動車と接触したという。「大丈夫。気をつけなさいよ。」救急箱からバンドエイドやら塗り薬を出してやった。「大丈夫」とBobも言ったし、見たところ、たいした傷でもなさそうだったが、これが前哨戦だった。チンピラBobがおとなしく引き下がっているはずがなかった。2か月くらい経ったある日、突然大手宅配会社から2人、事務局長を訪ねてきた。話を聞くと「2か月前、当社の車がお宅の外国人講師と接触し、事故は示談にさせてもらうことになりましたが、その後何度自宅を訪ねても何だかんだと応じてもらえない。なんとか話をつけてもらえないでしょうか。」交渉に疲れ切った様子の2人。「こちらは車で相手は自転車ですから、当方に非があるのは重々承知しています。けれども話に応じてもらえないことには事故処理がすすみません。もう訴えてもらってもかまいませんから。」とまで言う。「難癖をつけて金額を吊り上げ、ゆするなんてチンピラのやることじゃないか。首だ~っ!」事情を知った事務局長は怒り心頭。小さな街なので「がらの悪い講師がいるそうよ」などと評判を落とすことが怖い。すぐにBobを呼びつけ話はつけたが、形の上ではBobは被害者なので、これを理由に首にすることはできない。契約満了の3月まであと5か月ほど、どうか何も事を起こさないでと祈るような気持ちで過ごした。

「英語しか話せない!」

 アメリカ人にとって英語は母国語だから、できて当たり前。いや英語しかできない人がほとんど。英語が国際語となって全世界に通用するものだから、外国語を学ぼうとする必要がない。つまり「英語しか話せない。」外国語を学ぼうとしないことが、引いては他国を学ぶぼうとする姿勢の邪魔になっていると思う。他国を学ぼうとしない姿勢が、「Ameria is first」となって、政治や外交姿勢に大きな影響を及ぼしているのではないか。つまりは他国をしらない無恥、無教養。

ハーバート大卒業のタレント、パックンが言ってました。

トランプが大統領になったことは「アメリカのエリートの敗北」

知り合いのアメリカ人大学教授が言ってました。

トランプが大統領になったことは「アメリカ人がアホで、品性がないということが全世界にばれた!」