怖いもの知らず

外国語、外国人と異文化体験・ビジネス・身辺雑記

根回しとDecision Maker

日本企業の根回しとは・・

ある企業のトップの方が外国人に「日本企業の仕事の仕方」について講演を行う機会があり、「日本で取引を成功させたいなら、事前に担当者が自分たちの決定に沿うように関係各所へ根回し、さらに誰に決定権があるのかということを見極める必要がある」といったような話をした。講演後ドイツ人の女の人がやってきて「貴方のお話でようやく理解できました」と言ったという。

女の人はドイツの商社に勤めていて、日本企業と取引できる話が持ち上がった。日本企業のおえらいさんが、彼女の会社が在するデュッセルドルフまで、わざわざ来るというので、彼女たちは何日もかけてプレゼンの準備をし、おかげて当日のプレゼンは大成功。日本企業の方たちは、立ち上がって拍手までしてくれたという。彼女たちは取引成立まちがいなし!と大喜びしていたが、その後なんの音沙汰もなし。しかも半年後に取引の話は突然ひっくり返って無かったことに!「あのプレゼンはいったい何だったの?」

多分日本の担当者は、あたかも自分たちに決定権があるかのような誤解を与えたにちがいない。

 

先日のサッカー日本代表ハリルホジッチ前監督の解任劇を聞いて、この話を思い出した。日本サッカー協会の田嶋会長がわざわざパリまで出向いて解任を告げたというが、ハリルホジッチ氏の「誰から一度も問題指摘されず」「技術委員会の存在知らず」「誰と対話不足だったか教えてほしい」という言葉で、上記のドイツの会社とおなじことが起こったと思われる。

誰が Decision Makerなのか

日本は「取引 (Deal,Negotiation)」がへただといわれるが、上記のような構造が一因だと思われる。「断った時に相手に嫌な思いをさせたくない」とギリギリまで内部事情を告げない。さらに責任を取りたくないためか Decision Makerになるのを避けて「みんなで決めました」風を装うトップが多いために、結局結果をさらに悪化させる。ハリルホジッチ前監督の解任はもっとスムーズにやれる方法がいくらでもあったと思われる。「責任は自分が取るから、がんばってくれ」と言えないトップ(企業の下は係長、主任から、政治家、役所、すべての何処かの誰かのトップの皆様)があまりに多い。こう言ってくれたら、もっと物事はスムーズに運ぶのにと思う。もし結果が思うようにならなかったとしても、そこは日本人、みんなで頑張った結果ですもの。「お前のせいじゃ」と一人に責任をかぶせることはしないと思う。

以前、トップに直接交渉して、勝手に授業のコマ数を増やしたり、時間帯を変えたりする中国人講師がいた。多分部長や理事長などのトップに働きかけるのは中国の取引のやり方なのだと思う。しつこく何度も交渉するのも中国風。相手が「あんなにうるさいのはかなわん。何とかしてやれや。」と折れるのを待つ。頭に来たので、黙って要求を受け入れ、契約更新時に「契約更新はしない」と切ってやった。猛烈な抵抗があったが、すべてNo.契約がすべて。最後に彼が言った言葉が忘れられない。「私は交渉相手を間違えていました。だれが本当のDecision Makerなのかを見誤りました。」

 取引の極意

最後に「取引 (Deal, Negotiation)」の極意を1つ。まず基本のスタンスは「No.」。「ただし検討の余地はある。検討はしてみる」と付け加える。これでダメもと。うまく取引成立すれば、相手は喜び倍増!! ねっ!  

                       

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